ヒート(発情)・避妊と去勢
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ヒート・避妊と去勢
メスのヒート(発情)について
メスは生後半年から1年半ぐらいの間に初めてのヒート(発情)を迎えます。
多くは1歳ごろまでにヒートを迎えますが、人と同じく犬にも個人差があり、迎える時期は様々で2歳前頃に初めて迎える子もいます。初めは陰部が腫れてきて、次に透明な分泌物が出てきます。さらに1日ほどで血液が混ざってきます。この血液性分泌物の量は次第に増加した後、次第に減少していきます。ヒートはその後、約半年~1年ごとの周期で迎えます。1回のヒートは約10日から1ヶ月とこちらも個人差があるようです。ヒート中は出血があるため、犬専用のサニタリーパンツやオムツをはかせると良いでしょう。フレンチブルドッグはしっぽが短い為、人の赤ちゃん用オムツでも代用できます。出血量も個人差があり、出血がほとんど目立たない場合もあります。
↑犬用サニタリーパンツ
- ヒート中に気を付ける事って?
- ヒート中はオスが寄ってくるので他の犬が来るような場所へは連れ出さないようにしましょう。
ドッグランやドッグカフェもヒート中は出入りしないよう、配慮しましょう。また、出血が収まると排卵が始まり、妊娠しやすい時期になります。この時期も他のオスと誤って交配しないよう、注意が必要です。計画的に交配させる場合も、最初のヒートでは犬がまだ大人になりきれていませんのでこの時期の交配は避けるようにし、2回目以降のヒートで交配を計画しましょう。
避妊と去勢について
近頃では繁殖をさせない場合、避妊・去勢手術をすることが多くあります。
病気予防の為に手術をするのであれば、成犬になってからでは遅いので早めに決めましょう。メスの場合、最初のヒートが来る前に行うほうが良いでしょう。また、オスは5~6ヵ月の方が成犬に比べ精巣から分泌されるテストステロンの濃度が7倍も高いため、このホルモンに影響される問題行動として、テリトリーや他の犬に対する攻撃性、頻繁なマーキング行動、逃亡行動などが表れます。問題行動を阻止するための去勢手術を受ける場合は行動が確立される前、1歳を越える前に行ったほうが良いとされています。それ以降になると行動的に確立されてしまうので手術の効き目があまり期待できません。
- 手術を決める際に手術をするかどうかはそれぞれの飼い主の考え方次第です
- フレンチブルドッグの場合、他の犬種より麻酔のトラブルが起こりやすい傾向があるため、獣医さんの意見も様々です。体に対するメリット・デメリットを知った上で、飼い主さんが一番良いと思う方法を選びましょう。
避妊手術により卵巣と子宮を排出します。子宮の病気やがん予防につながります。また、ヒートもなくなります。避妊手術は開腹手術となるので2~3日の入院が必要です。
メリット
子宮蓄膿症の予防
この病気は子宮の内膜が発情期を繰り返すごとにホルモンの影響を受けて変化し、最終的には細菌感染を受けて子宮内に膿の貯溜が起こるものです。犬は人と違い閉経がなく、子宮の内側は常にホルモンの影響を受けます。特に高齢犬での発生が多いようです。
乳腺癌・卵巣腫瘍の発生を予防
様々な獣医学研究で証明されており、初めての発情期が訪れる前に避妊手術をしたメスは乳腺癌になる確率がほぼ0%。初めての発情期の後に手術を行った場合は7%、2回目の発情後に行った場合は25%と言われています。3回目の発情期を過ぎても全く効果が無い訳ではありません。特に乳腺癌を発症したメスがまだ避妊手術をしていなければ乳腺癌の手術とあわせて行うことが新たな乳腺腫瘍の発生を予防する可能性があるとして薦められています。
発情期がなくなりわずらわしさからの開放
発情期には排卵を迎えるため、エストロゲンというホルモンによって出血が起こり、臭いもきつくなるため、出血で部屋を汚したり、オムツを当てたり、オスを近づけない様、気遣いが必要です。避妊手術をすれば発情期が無くなるため、出血もなく、そういったわずらわしさがなくなります。
オスは睾丸の摘出で去勢し、前立腺や生殖器の病気が予防できます。オスならではの権勢本能が芽生える前に去勢すると足をあげて尿をたすマーキング行為を予防出来ることが多く、性格が大人しくなる傾向があります。また、発情中のメスに出会っても興奮しなくなる為、犬もストレスがなくなります。
メリット
精巣腫瘍・肛門周囲腫瘍を予防
去勢手術は陰嚢にある二つの精巣を取り出します。その為、高齢犬に多く見られる精巣の腫瘍を防ぐことが出来ます。精巣腫瘍は組織病理学的には主に3つのタイプがあります。どのタイプも良性であるといわれていましたが、犬にも悪性の精巣腫瘍が発生していることがわかっており、長い年月を経過すると腹腔内に転移することもあります。
前立腺肥大を予防
オスの前立腺肥大は良性前立腺過形成(BPH)と呼ばれています。ある研究調査では去勢していない5歳以上のオスの80%に良性前立腺過形成がありました。また、その比較は年齢と共に増加していきます。大きくなった前立腺は前立腺炎を起こしやすくなります。前立腺炎とは細菌が上行性に尿路を通って前立腺に感染し炎症を起こす病気です。痛みの強い急性と症状がはっきりしない慢性があります。
会陰ヘルニアを予防
オスでは会陰部(肛門と陰嚢の間)の筋力が低下し、その内部にヘルニアを生じることがあります。見た目は肛門の横、あるいは両側に大きなこぶのような膨らみが生じ、そこに便や重症の場合には膀胱などが入り込んでしまいます。その為、不快感や痛みに煩わされるだけでなく入り込んでいる臓器によっては命に関わることもあります。治療は会陰部の筋肉の整復手術を行います。
エストロゲン反応性尿失禁
尿道括約筋の機能障害により、リラックスしているときに尿を漏らしてしまうものです。主に卵巣から分泌されるエストロゲンというホルモンが避妊手術によって低下することも要因の1つと言われています。報告によっては避妊手術を受けたメスの20%で生じていると言われ、オスにも発生することがあります。失禁が始まるのは術後すぐの場合もあれば数ヶ月~数年してからの場合もあります。
肥満傾向になる
様々な研究報告によるとオスもメスも避妊・去勢手術をしている犬は肥満の発症率が30%で、していない犬は15%程度であることが分かっています。特にメスは避妊していない犬よりもしている犬のほうが2倍も肥満になりやすいと言われています。メスの場合、エストロゲンと言うホルモンが食欲に影響を与えるため、避妊手術によってエストロゲンが減少すると食欲が増加してしまうことも関係があるようです。避妊・去勢手術の後は食事のカロリーを20~30%下げるよう、配慮しましょう。
麻酔・手術のリスク
手術をする場合は全身麻酔が必要です。全身麻酔には少々抵抗を感じてしまいます。獣医学の進歩によって、現在では安全な麻酔薬が使われるようになり、手術中のモニター装置も優れているため、麻酔の事故は極めて少なくなっていますが、皆無ではありません。手術をするということはそれなりのリスクが伴うことを頭に入れておきましょう。
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